大切な人がもしウォーカーになったとき、あなたならどうしますか?
理性を失い自らの食欲を満たすためだけに生きているウォーカー。
あなたの大切な人が・・・
もしそのウォーカーになったとしたら、どうしますか?
殺しますか?
or
それとも生かしますか?
この答えをすぐに出せる人はそういないと思います。
大切な人がウォーカーになったときの結末を私は何度も目にしてきました。
その結末はあまりにも悲惨で、大切な人を奪われた者の魂をも奪いさるほど衝撃的なものです。
ウォーカーになった時点で、自分はおろか相手のことすら分からない状態になってしまいます。
家族であれ、愛する者であれ、その区別がつかなくなってしまい人間を食べようとします。
今まで接点のない人であれば簡単に殺すことはできるかもしれませんが、大切な人であると殺すか、生かすかで判断に迷いが生じてしまうと思います。
理性や容姿が変わったといっても、目の前にいるウォーカーはあなたの大切な人だったのです。
殺さなければ自分が死んでしまうかもしれませんが、果たしてそのとき銃の引き金を引くことができるのだろうか。
その答えを出す前に、ウォーカーの存在意義について考えてみたいと思います。
ウォーキングデッドの登場人物の中に、ウォーカーを生かそうとする人達がいます。
一人はハーシェル、もう一人はガバナー(総督)。
ハーシェルが思うウォーカーの存在意義
ハーシェルはウォーカーの存在について、単なる病人であって化け物でないことを主張します。
ですから、近くにウォーカーが現れたとしても殺さずに、農場の倉庫に連れ込み生かそうとします。
人間がウォーカーに襲われている光景を目にしておきながら、ハーシェルはどうして病人と主張するのか?
その理由について、私はこのように解釈をしました。
ハーシェルの家族には、マギーやベス、オーティス達以外にも、愛する妻と義理の弟がいました。
彼らはリック達と出会う前、もうすでにウォーカーに変貌していました。
愛する妻や義理の弟がウォーカーになったとき、ハーシェルの心境はどのようなものだったのか・・・。
想像を絶する苦しみを味わったと思います。
モーガンが愛する妻に銃を構えても殺せなかったように、 ハーシェルも妻や義理の弟を目の前にして、殺すことが出来なかったのではないかと思います。
その後来る日も神に祈りを捧げ、その過程で神に怒り、自身にも怒り、狂気ともいえる感情が芽生えたと思います。
「どうして罪のない人間にまで神は天罰を下すのか。」
答えの見つからない現実を突きつけられて、苦悩する日々が当分続いたと思います。
そして苦悩のなか彼がやっとたどり着いた答えが、ウォーカーに対する見方を変えること。
そうすることで、ウォーカーの存在意義を見つけることができ、自身をも正当化することが出来たのです。
大切な人がウォーカーになり、ウォーカーの姿になった大切な人の存在価値を見出せない中、殺さない理由(生かす理由)を模索していたのです。
現実を直視することが怖くて、彼の中で病人として考えたかったのです。
そうすれば妻も義理の弟も、いつまでも私たちの近くで生活していられると感じたのです。
だからウォーカーに変貌した人達を病人と呼び、殺さずに生かしておいたのです。
ガバナー(総督)が思うウォーカーの存在意義
次にもう一人の人物ガバナー(総督)は、ウォーカーの姿になった娘を自室の牢屋で鎖に繋いで生かしていました。
彼は部下のミルトンと一緒に、ウォーカーについての研究を行っていました。
その研究とは、思い出の中でも特に印象深いものに触れることで、理性を取り戻すことができるというものです。
ミルトンは人間がウォーカーになったとしても心の奥底には、思い出や記憶が残っていること信じていました。
ガバナー(総督)自身も、ミルトンの研究が全てであり、もとの娘に戻れることを信じていました。
ガバナー(総督)がウォーカーの姿になった娘の髪をといたり、抱きしめるシーンがありますが、娘にもう一度パパと呼んで欲しいという彼の想いが汲み取れてジーンとくるものがありました。
ただハーシェルと違うところは、娘以外のウォーカーになった人間は全て殺してしまうところです。
それに彼は部屋の一室で、観賞用に水槽の中でウォーカーの首だけを保存していました。
彼いわく、恐怖に打ち勝つためと言っていましたが、ウォーカーの存在がよっぽど憎いということが、ウォーカーを見る目から伝わってきました。
彼もまたウォーカー(娘のみ)を生かす選択をした人間ですが、何もかも失い精神が崩壊した彼は残虐すぎて、憎たらしいったらありゃしません。
ガバナー(総督)は私が思うに、妻と娘の死を切っ掛けに解離性同一性障害(多重人格障害)を発症したのではないかと思います。
昼間の顔はとても穏やかな表情でどう見ても親切な人間に見えますし、そう見えたかと思えば、夜の顔は深く沈んだ表情を浮かべてその表情からは憎しみが溢れていました。
やることもけっこう残虐的でしたし、二面性のあるガバナー(総督)は恐ろしくて何を考えているのかも分からないほど不気味な人間であることが、私の目には映りました。
娘がウォーカーになり意に反して最終的に殺されてしまっては、精神が崩壊しないほうがむしろおかしいと思いますが。
今まで守り続けていたものが人の手によって奪われてしまうと、人は人でなくなります。
それを証明してくれているのがガバナー(総督)であり、死の定義について深く考えさせられた部分でもありました。
共に生きていることに価値がある
ハーシェルやガバナー(総督)の考えにはすごく共感できる部分がありますし、私の大切な人がもし目の前でウォーカーの姿になれば、殺すことはできないです。(ガバナーの残虐性には共感はできませんが)
たとえ、殺さないとあなたは死にますと言われたとしても、自らの手で殺すことはできません。
姿形が違えども大切な人には変わりありませんから、自らの手で殺したところで残るのは空虚感です。
そんなの耐えれませんよね。
いや、絶対耐えれない!!
だから私は、ウォーカーを隔離して生かすことに賛成です。
たとえどんなに時間がかかろうとも、ウォーカーの治療薬が作られるのを待ち続けます。それか探し続けます。
ハーシェルやガバナー(総督)がそうであったように、無理だと分かっていても大切な人を助けたいのです。
それに姿形が違っていても、共に生きているだけで価値を感じられるわけです。
現実を直視しろと言われたとしても、私はその現実から逃げて違った方向に向い希望を探していくことを考えます。
それがどんなに小さな希望であったとして、大切な人だけは守り抜きたいと感じます。
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