【アメリカン・ヒストリーX】から学ぶ!怒りは幸せを生まないこと
作品情報
上映時間 | 119分 |
監督 | トニー・ケイ |
脚本 | デイヴィッド・マッケンナ |
音楽 | アン・ダッドリー |
公開日 | 1998年 |
キャスト | エドワード・ノートン(デレク・ヴィンヤード) エドワード・ファーロング(ダニー・ヴィンヤード) ビヴァリー・ダンジェロ(ドリス・ヴィンヤード) ジェニファー・リーン(ダヴィナ・ヴィンヤード) ウィリアム・ラス(デニス・ヴィンヤード) イーサン・サプリー(セス・ライアン) フェアルザ・バルク(ステイシー) エイヴリー・ブルックス(ボブ・スウィーニー) エリオット・グールド(マーリー) ガイ・トリー(ラモント) ステイシー・キーチ(キャメロン・アレクサンダー) ポール・ル・マット(マクマホン) |
レビュー
こんにちは!オーサムです。
今回ご紹介する映画『アメリカン・ヒストリーX』は、アメリカ社会に根深く残る、人種差別という重いテーマを扱った社会派ドラマです。
本作は、刑務所で出会った黒人のラモントとの交流を通してデレクの心情の移り変わりや、兄の影響を強く受け白人至上主義を改め直す弟のダニーの姿がとても印象的な作品です。
そんな本作から学べたことは、
- 怒りによって幸せになることはない。
- 怒りからは争いしか生まれない。
の2点を学びました。
これらの学びを通して、私自身の心情も移り変わるいい切っ掛けになりました。
また、これからの人生もよりよいものにしていこうと思ったまでです。
では、今からは、
どうして、怒りによって幸せになることはないのか?そしてどうして、怒りからは争いしか生まれないのか?
この2つを題材に、本作で得た学びを紹介したいと思います。
怒りによって幸せになることはない
刑務所内でかもられ、身も心もズタズタにされたデレクに対して、ボブ・スウィーニー校長(エイヴリー・ブルックス)が投げかけた言葉がとても印象的でした。
その言葉は上記のタイトルになっているのですが、怒りによって幸せになることはまずないと思います。
人間は誰しも腑に落ちないことや納得のいかないこと、理不尽なことに直面すると、怒りの感情が芽生えてしまうものです。
その怒りの感情をコントロールできずに、あるがままに思ったことを言う人間もいれば、言えずに心に溜め込む人間もいます。
この場合、どちらの人間もいい結果を生むことはありません。
感情のまま怒りを相手にぶつけてしまえば争いが生まれますし、逆に怒りをずっと心の中に留めておくのも、自分自身が一番辛くなり、結果、ストレスの影響で精神的に病んでしまいます。
他者が傷つくか、己が傷つくか。
怒りによって、生じる結果は基本的にこの2つだけです。
本作のラストシーンは、それを象徴しているかのような展開になっています。
デレクに待ち受けていたあの無残な結末は、何度観ても人間とはどういう生き物なのか深々と考えさせられます。
怒りからは争いしか生まれない
怒りによって幸せにはなれないことを言いましたが、そのことに気づけていないデレクの行動は、それは、それはひどいものでした。
まずは、黒人の殺害。
続いて、スーパーマーケットの集団襲撃。
そして、母や妹に対しての暴行(身体的、精神的)です。
これらデレクが起こした行動にはきちんとした根拠があり、どのようなことがあってこのような怒りの感情が生まれたのか?
一つひとつ、その根拠について説明をします。
(※以下ネタバレを含んでいます!)
黒人の殺害について
殺害のきっかけとなったのは、黒人男性3名がデレクの大事にしていた父の形見の車を壊し盗もうとしたのが原因です。
じゃあ、どうして黒人たちは車を壊し盗もうとしたのか?
それは、バスケットコートの陣地争いを賭けて白人と黒人で試合をしたのですが、結果的にデレク率いる白人たちに軍配があがってしまったからです。
いわば、このとき妬みが憎しみに変わったです。
見る人からすれば、たかがバスケットコートのように思われますが、彼ら(黒人たち)の気持ちを察すれば、どうしても白人にだけは負けたくなかった・・・というプライドが心の中に存在していたからだと思います。
この気持ちというのは、たとえるなら、野球の試合で韓国や中国だけには負けてほしくないという、私たち日本人が抱く気持ちに近いものがあります。(あくまで、観戦する者の目線で考えた場合です。)
そう思うのも、ある意味人種差別なのかもしれませんね。
それにしても、デレクが黒人を殺害した方法が頭から離れません。
それほどインパクの強いシーンで、見るに耐え難かったです。
スーパーマーケットの集団襲撃について
不法入国者に対して政府が多額のお金をかけて面倒をみたせいで、罪のない黒人やアジア人に向けられたデレクの怒り。
こうもひどい目に合わなければならないのか、ただただ悲しい気持ちになりました。
その問題のシーンですが、白人の仲間たちの前でデレクはこのような演説を行います。
去年政府は30億ドルを使って、よそ者たちの面倒を見た。
連中の犯罪を検挙するのに4億ドル。
移民帰化局が、罪人の入国に目をつぶるからだ。
政府は無関心だ。 国境は形だけだ。
南から侵入する連中は法などお構いなしだ。
毎晩無数の寄生虫たちが、国境を越えてはってくる。
政府は正直で勤勉なアメリカ人を、不当に扱って国民でもない者の権利を守ろうとしている。
自由女神には“貧困を救う”とある。 今貧しいのはアメリカ人だ。
この国から奴らを排除しろ。
失っていいのか?
自分の運命を切り開く権利を。自由を。
アメリカはよそ者に占領される。
遠い未来の話じゃない。遠い土地の話じゃないんだ。
今ここであのビルで起きている現実だ。
あそこはミラーの店だった。
デイブやマイクがいた。
ところがアジア系が店を乗っ取り、アメリカ人をクビにして奴らを雇っている。
それなのにみんな知らん顔だ。
俺は頭にきた。
この演説後、デレクと白人の仲間たちは、黄色人種が働くスーパーマーケットに襲いかかり、これでもかというほどの暴力をふるいます。
と、このようにデレクの怒りは、黒人やアジア人によって自分たちの住む領域を侵され、なおかつお金まで他の人種の人間に使われたという、いわば領域の侵害や不誠実な国の対応によって芽生えたことが伺えます。
母や妹に対しての暴行について
家族団欒で食事をしているなか、デレクが徐々にヒートアップする姿が印象的なこのシーン。
本作の中でデレク本人とその彼女のステイシー、母のドリスに妹のダヴィナ、弟のダニー、そして母と友人関係にあったマーレー(ユダヤ系の男性)と食事をしていたときのこと。
そこで交わしたある一つの話題から、思いもよらない展開へと物語は発展してしまいます。
ことの発端となったのは、母の友人であるマーレーが“ロス暴動で黒人の店が破壊された”という話題からはじまりました。
これを機に、デレクの中に眠っていた怒りの刃が牙を剥きます。
マーレーが話題に出したロス暴動の事件についてですが、警官4人が黒人に集団暴行を加えたことが問題視されている状況です。
この事件に対して、警官より先に手を出したのは黒人であって、マスコミやメディアが国民に嘘の情報を流している、そのことにアメリカ合衆国の国民は気づかずに黒人を守ろうとするのはどうかしている、とデレクは主張します。
それから、ドリスやダヴィナが意見をするたびに、デレクは自らの意見を頑なに主張します。
そして、デレクの彼女ステイシーがデレクの言い分に加担するような発言をしたあと、ダヴィナが反論します。
緊迫した状況の中、ダヴィナはデレクに呆れ果てたのか席を立ち去ろうとしましたが、何も解決しないままその場を立ち去るダヴィナに対して、最後まで話が終わるまで席を立つな、と激怒します。
2人の口論は止まらず、隙をみて立ち去ろうとした瞬間…。
デレクはダヴィナの髪を引っ張り、テーブルの上にあった肉を妹の口の中に押し付けます。
見兼ねたドリスとダニーは、デレクの行動を止めようとしますが、感情が高ぶったデレクの前に突き飛ばされてしまします。
デレクの怒りは収まらず、その怒りの矛先がマーレーに向きます。
デレクはマーレーに対して、“母と寝たいだけだろ?今後一切家族に近づくな”と言って、その場から追い出してしまいます。
その態度に見兼ねたマーレーは、ドリスに“彼は狂っている、君は彼の恐ろしさを知らない”と言って、車に乗り立ち去ります。
このシーンだけでも10分ほどあって、とても印象深いシーンでした。
デレクは、他国から移民してきた黒人を守る法律はもちろんのこと、国(アメリカ合衆国)に怒っている心情が汲み取れました。
さいごに
本作を通して、怒りからは何も生まれないし幸せにもならない、そして怒りによって暴力や争いが生まれるということを学びましたが、元からデレクは世の中に対して不満や怒りを抱えていた人間であるか、と言われると、そうでもありません。
黒人を極端に毛嫌いするようになったのは、父親が黒人に殺害されたことやキャメロンによる洗脳とは別に、根本的に父親から教え込まれた影響が一番の原因です。
というのも、デレクの学生時代は勉強熱心な子で、成績も優秀な感じであることが、終盤のシーンで伺えました。
どうしてデレクの父は、極端に黒人を軽蔑するようになったのか、本作を視聴し自分の目でぜひ確かめていただきたいと思います。
世の中、怒りの感情を出したところで、物事はいい方向性に進まず、悪い方向性に進んでしまいます。
現在、何かにいつも怒りを感じているという方は、怒りによって生まれる負のスパイラルを、本作で感じ取ってみてはいかがでしょうか。
自分自身の感情と向き合う、いいきっかけになると思いますので。
本作を観たい方は、どうぞHuluで。
・無料もしくは月額933円で観たい方はこちら→Hulu Japan
今日はここまで!
最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。
また次回もお楽しみ♪
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