【メメント】頭がパンクしそうなぐらい難しい異色のサスペンス映画
<作品情報>
上映時間 | 113分 |
監督 | クリストファー・ノーラン |
原作 | 監督の弟であるジョナサンが書いた短編『Memento Mori』 |
音楽 | デヴィッド・ジュリアン |
公開日 | 2000年 |
出演者 | ガイ・ピアース(レナード)キャリー=アン・モス(ナタリー)ジョー・パントリアーノ(テディ)マーク・ブーン・ジュニア(バート)
スティーヴン・トボロウスキー(サミー) ジョージャ・フォックス(レナードの妻) ハリエット・サンソム・ハリス(サミーの妻) カラム・キース・レニー(トッド) ラリー・ホールデン(ジミー) |
レビュー
こんにちは!オーサムです。
今回ご紹介する映画『メメント』は、主人公レナードの妻が何者かによってレイプをされたあげく、殺されてしまい、復讐のため妻を殺害した犯人を追うといったサスペンス要素ゴリゴリの作品になります。
とはいっても、本作にはまったくもって驚きの連続でした。
一般的に映画のストーリーといえば、「起承転結」で構成されることがほとんどだと思いますが、本作は違いました。
なんとストーリーの時間軸が逆行していて、「結転承起」で構成されているのです。
毎回、レナードの記憶が消去される直前のところから物語がはじまるのですが、結末に至るまでの経緯が区切りのいいところで1カットに切り離されていて、その都度出来事の終わりから始まりまで振り返るような順番になっていました。
これ、要するに、はじめにラストシーンがあって、最後にオープニングという流れで、その間の物語は1カットに区切られて、そのシーンも逆の順番になっているということですね。
うーん。なんともややこし映画。
さらにこのややこしさに追い打ちをかけているのが、レナードの病気です。
その病気とは、「前向性健忘」という1種の記憶障害です。
前向性健忘とは、発症以前の記憶はあるものの、それ以降は数分前の出来事さえ忘れてしまう症状のことです。
レナードは、妻が何者かによって襲われていたところに、犯人の一人を銃で撃ち殺しますが、実は犯人はもうひとりいて、その一人に突き飛ばされ、そのときの外傷で10分間しか記憶が保てない状態になってしまいました。
この10分しか記憶が保てない病気の設定と、ストーリーの時間軸逆行によって、あたかも記憶喪失であるかのような疑似体験をします。
ですから、映画を観ててつい油断してしまうと、すぐに置いてけぼりを食らってしまいます。
実際、私はこちらの映画を2回も見直しました。
また、ストーリーの内容も腑に落ちないところが多く、気になる疑問が満載でした。
純粋に映画を楽しみたい方には、あまりおすすめしない映画ですが。
逆に、とことん真実を追求したい方にとっては、価値のある映画だと思いますので、できたらリラックスできる場所で鑑賞されることをおすすめします。
クリストファー・ノーラン監督の渾身の作品『メメント』を目の前に、脳みそをフル回転させてみてください。
このような疑問を感じました!
本作を鑑賞したあとに残ったのは、数多くの疑問でした。
たとえば、私は以下のような疑問が浮かびました。
- テディがジョン・Gという人物だと名乗ったのはどうしてか?
- レナードの妻を殺害したのは、ジョン・Gなのか?
- レナードが胸を指差す写真は、何を意味しているのか?
- モーテルのドアの下から、写真入りの封筒を渡したのは誰なのか?
- ジミーはジョン・Gという人物なのか?
- ナタリーとドッドには、なんの関係があるのか?
- ナタリーがレナードに渡した書類に、テディがジョン・Gとなっていたのはどうしてか?
- ラストのシーンで、妻がベッドで寄り添っていたレナードの体にはすでにタトゥーが入っていたが、文字が違っていたのはどうしてか?
- どうして、レナードはテディの車のナンバーをメモしたのか?
- レナードが電話をしていた相手は誰なのか?
などなど。
謎多きストーリーなだけに、一度観ただけでは到底内容を理解することはできませんでした。
どうしてわからなかったのか、自分の頭の悪さを呪ってしまいます。
ホント、難しい映画です。
テディの言っていることは嘘か、それとも真実か?
本作の趣旨を理解するために、テディのセリフの嘘と真実を見極める必要があります。
終始、テディの言っていることをそのまま鵜呑みにしてしまえば、彼に振り回されて混乱を招くのは確実です。
かといって、真実を言っていることもあります。
どの場面のセリフが嘘か、もしくは真実なのか。
これがわかるようになれば、バラバラになったパズルのピースが型にまるように、物語の核心となる部分を徐々に理解することができるようになります。
監督のねらいも、きっと、テディに偽りの言葉と真実の言葉を並べさせて、意図的に混乱を招こうとしたのではないかと思います。
試されるスキルと身につけられるスキル
本作を通して私たちが試されるスキルは、「観察力」と「記憶力」です。
観察力がなければ、テディの嘘を見抜くことができませんし、真実を見抜くこともできません。
またストーリーの時系列を整理するために、一つひとつのシーンを記憶しておかなければ、頭の中がごちゃごちゃになってしまい、内容を理解することができなくなります。
結果、難しい映画だとか、面白くない映画に終わってしまうのです。
作中でレナードがテディに対して、人の記憶とは曖昧で、記録(=メモ)こそが確かな情報であることを話します。
とは言いますが、記録は記録で不確かな情報になることもあります。
というのも、記録は人の手によって容易に改ざんすることが可能だからです。
ましてや、レナードは10分後には記憶がなくなるわけですから、メモばかりに頼っていることが誰かに知れ渡れば、その弱みにつけ込み都合のいいように利用されることも十分考えられます。(←これ結構、物語の核心を突いているかも・・・)
これ以上、核心に触れてしまうとネタバレになってしまうので、この辺で留めておきますが、何度観ても物語の筋が見えないとか、わからないという方はよく観察し、ストーリーを記憶できるまで何度も繰り返し観られてください。
続いて身につけられるスキルについてですが、本作を通して身につけられるスキルは「洞察力」です。
もちろん、さきほどの「観察力」と「記憶力」も身につけることはできます。
観察力と洞察力はどちらも同じように思えますが、意味合いが若干違ってきます。
観察力とは、物事のありようを深く考えて理解する能力に対し、洞察力とは、物事のありようを直観的に見抜く能力のことを指します。
洞察力の説明の中に直観的とありますが、言葉をかみ砕くと次のような意味になります。
直観的:推理などによらず、瞬間的・直接的に物事の本質を見てとるさま。
人と関わるような仕事をしている方にとっては、洞察力を身につけることで自然と相手のことが理解でき、物事の本質を見抜くまでの時間が早くなります。
1度観ただけで、本作の核心となる部分を理解できる方は、洞察力が優れた人間ということです。
本作で、ぜひ「観察力・洞察力・記憶力」を高めてみてください。
さいごに
立て続けに2回も観たのは、本作がはじめてでした。
私にとってはそれほど気になる内容でしたし、毎回新しい発見があって、観れば観るほど味が出てくるなど、とても奥が深い映画でした。
真実がわかったときは、やっと謎が解けたという嬉しい気持ちになりましたし。
これが結構感動もので、変に優越感に浸ってしまいます。
しかしその反面、真実を知ればレナードに対して嫌悪感を抱きます。
だってこの方、身勝手な人間ですから。
真実を知ることで人間の嫌な部分が見えてくるとは、まさにことのことです。
とはいうものの、本作を観る価値は十分ありますので、興味のある方や自身の思考能力を試したい方は、ぜひ視聴してみてください。
本作を観たい方は、どうぞHuluで。
・無料もしくは月額933円で観たい方はこちら→Hulu Japan
今日はここまで。
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
また次回もお楽しみ♪
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